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2021.12.28

電子取引情報の電子保存の宥恕措置に関する国税庁の見解が公表されました

電子取引情報の電子保存の宥恕措置に関する国税庁の見解が公表されました

年の瀬押し迫る本日、与党による令和4年度税制改正大綱に明記された、改正電子帳簿保存法により令和4年1月1日以降義務付けられた電子取引情報の電子保存に関する宥恕措置について、国税庁の公的見解の公表が確認され、詳細が判明しました。

具体的には以下の公的見解に今回の宥恕措置に関する記載が追加されました。

国税庁「電子帳簿保存法取扱通達」(改正令和3年12月27日)7-10・7-11
国税庁「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」(令和3年12月)問41-2~41-5

結論としては、令和4年1月1日以降、令和5年12月31日までの間、電子取引情報について、電子保存できないことについてやむを得ない事情があり、整然・明瞭に紙出力されていること及びそれを税務調査で提出・提示することを条件に、電子保存ではなく、紙で出力したものの保存も認められると解してほとんど問題ないと考えられます。

本宥恕措置の適用を受けるにあたって注意すべき点としては、

・適用を受けるにあたり事前申請等は不要であり、税務調査に際して適用を主張すれば足りること。
・やむを得ない事情とは、例えば、システム等や社内のワークフローの整備未済等、保存要件に従って電磁的記録の保存を行うための準備を整えることが困難であることをいうと解されており、税務調査の場面で適用を主張する際にはそのような事情の説明が必要であること。
・電子取引情報は整然とした形式で・明瞭な状態で紙に印刷され保存されていなければならないこと。すなわち、電子保存しない電子取引情報については、紙保存している通常の請求書等の書類と同様に、網羅的かつ秩序立って保存されている必要があること。
・紙出力した取引情報は、他の紙保存書類と同様、法定の保存期間(原則7年)にわたり保存する必要があること。
・令和6年1月1日以降の電子取引情報については電子保存すべく準備を進めること。

の各点が挙げられます。

本宥恕措置の適用を受けた場合、電子取引情報を出力した紙の保存をもって電子保存しているものと取り扱うとされており、保存義務を充足することになります。

但し、上記一問一答においても「令和6年1月1日以後に行う電子取引の取引情報については要件に従った電子データの保存が必要ですので、そのために必要な準備をお願いします。」(問41-2)と述べられており、電子保存に向けた準備は引き続き進めなければならない点にご留意ください。

(公認会計士・税理士 峯岸 秀幸)

 ***本記事のタイトルで使用している写真はAya Hirakawaさんの作品です。